建具工とサッシ工の違いとは?仕事内容と必要なスキルを比較

建具工とサッシ工は、どちらも建物の扉や窓に関わる仕事ですが、実際には扱う素材や作業内容が異なります。


建具工 は、木製の扉や障子、ふすま、クローゼットの扉などを作る職人です。木の特性を活かし、美しい仕上げや使いやすい動作を実現するため、繊細な技術が求められます。


サッシ工 は、主にアルミや樹脂製の窓枠やドアを扱い、住宅やビルの窓・サッシの取り付けや調整を行う職人です。建築現場での作業が多く、寸法の正確さや防水性の確保が重要になります。


同じ「建具」を扱う職人でも、求められる技術や作業環境が異なります。それぞれの仕事内容を詳しく見ていきましょう。




建具工の仕事内容:木製の建具を作る職人の仕事とは?

建具工の仕事は、木材を使って扉や障子、ふすまなどを製作・取り付けすることです。既製品の設置ではなく、一つひとつ寸法を測り、オーダーメイドで作ることが多いのが特徴です。



建具工の主な仕事内容

  • 木製のドア、引き戸、クローゼット扉などの製作
  • 障子やふすまの張り替え、修理
  • 建具の調整やメンテナンス
  • 現場での寸法測定と設置作業


建具工の仕事では、木材の特性を理解し、反りや割れを防ぐための加工技術が求められます。特に、ミリ単位での調整が必要なため、カンナやノミを使った繊細な手仕事が重要になります。


また、最近では洋風の住宅が増え、建具工の仕事も多様化しています。木の温もりを生かしたオーダーメイドの扉や、デザイン性の高い収納扉など、現代のライフスタイルに合わせた建具作りが求められています。


一方で、建具は使い続けるうちに歪みや不具合が生じることもあります。そのため、建具の修理や調整の仕事も多く、職人として長く活躍できる分野の一つです。




サッシ工の仕事内容:金属や樹脂を扱う職人の役割とは?

サッシ工の仕事は、住宅やビルの窓やドアの取り付けを行うことです。アルミや樹脂製のサッシは軽くて丈夫なため、現代の建築には欠かせません。サッシ工は、これらの素材を使って、建物の開口部(窓やドア)を仕上げる重要な役割を担っています。



サッシ工の主な仕事内容

  • アルミサッシや樹脂サッシの取り付け
  • 窓枠やドアの調整・修理
  • 防水・気密性の確保
  • ガラスの設置や交換


サッシ工の仕事では、建築現場での作業が中心となります。施工現場に運ばれてきたサッシを取り付けるだけでなく、壁や床との隙間をなくし、しっかりと固定する作業も重要です。特に、防水や気密性を確保するためのシーリング(目地を埋める作業)は、正確に行わないと雨漏りや断熱効果の低下につながるため、細心の注意が必要になります。


また、リフォームや修理の仕事も多く、古くなったサッシを新しいものに交換したり、窓の開閉がスムーズにいくように調整する作業も行います。


建具工が「木を扱う職人」なのに対し、サッシ工は「金属や樹脂を扱う職人」という違いがあります。それぞれに求められる技術が異なり、活躍の場も違うのです。




建具工とサッシ工、それぞれの技術と道具の違い

建具工とサッシ工は、どちらも扉や窓を扱う職人ですが、使う技術や道具には大きな違いがあります。それぞれの仕事に適した道具を使いこなすことで、より精度の高い仕上がりを実現できます。



建具工の技術と道具

建具工は、木材を加工し、美しく仕上げる技術が求められます。寸法の狂いが少しでもあると、扉の開閉がスムーズにいかなくなるため、カンナやノミを使った精密な調整が重要になります。主に使用する道具は以下の通りです。

  • カンナ(表面をなめらかに仕上げる)
  • ノミ(細かい削りや接合部分の加工)
  • 鋸(のこぎり)(木材を切断)
  • スコヤ(直角定規)(正確な角度を測る)



サッシ工の技術と道具

サッシ工は、アルミや樹脂製のサッシを扱うため、金属加工やガラスの設置技術が求められます。現場での施工が多いため、道具も携帯しやすい電動工具が中心です。主に使用する道具は以下の通りです。

  • インパクトドライバー(ビス留め作業)
  • 電動丸ノコ(アルミや樹脂の切断)
  • シーリングガン(防水加工のシーリング作業)
  • ガラス吸盤(ガラスの安全な取り付け)


このように、建具工は木工技術、サッシ工は金属加工技術が求められるため、それぞれ違った職人技が必要になります。




建具工とサッシ工、それぞれの働く環境とは?

建具工とサッシ工は、作業する環境にも違いがあります。どのような場所で仕事をするのかを知ることで、どちらの職業が自分に合っているのか判断しやすくなります。



建具工の職場環境

建具工の仕事は、工房と現場の両方で行われます。工房では、木材を加工し、扉や窓枠を製作します。その後、完成した建具を持ち込み、現場で取り付けるのが一般的です。オーダーメイドの仕事が多いため、一つひとつの作業に時間をかけて丁寧に仕上げることが求められます。



サッシ工の職場環境

サッシ工の仕事は、建築現場が中心になります。施工現場でサッシを設置し、窓やドアの調整を行います。特にビルやマンションの高所作業が発生することもあり、安全対策が重要になります。また、リフォームの仕事では、古いサッシを撤去し、新しいものに交換する作業も多くあります。



働き方の違い

・建具工:工房での作業が多く、職人としてじっくりものづくりをしたい人に向いている。

・サッシ工:現場作業が多く、スピード感を持って仕事をしたい人に向いている。


どちらの仕事もやりがいがありますが、作業環境の違いを考えて、自分に合った職業を選ぶことが大切です。




どちらを目指すべき?向いている人の特徴

建具工とサッシ工、それぞれの仕事の特徴を理解したうえで、「どちらの仕事が自分に向いているのか」を考えることが大切です。



建具工に向いている人

  • 細かい作業が得意で、手先が器用な人
  • 木の温もりや質感にこだわりたい人
  • オーダーメイドの仕事に興味がある人
  • 工房でじっくりものづくりをしたい人


建具工は、細部にこだわりながら、職人技を活かして一つひとつ丁寧に作業するのが特徴です。ミリ単位の調整が必要になるため、慎重に作業ができる人に向いています。



サッシ工に向いている人

  • 体を動かすのが好きで、現場作業に抵抗がない人
  • スピーディーに作業を進めるのが得意な人
  • 最新の建築技術や設備に興味がある人
  • 高所作業や屋外作業も苦にならない人


サッシ工は、建築現場での仕事が中心になるため、現場作業が好きな人や、チームで仕事を進めるのが得意な人に向いています。また、近年はサッシの断熱性能や防音性能が向上しており、新しい技術を学ぶ意欲がある人にも適しています。



まとめ

建具工とサッシ工はどちらも扉や窓を扱う職人ですが、仕事内容や求められる技術、働く環境が異なります。


建具工 は木製の扉や障子、ふすまを製作・調整し、精密な手作業が求められる職人です。細かい加工をじっくり行うため、工房での作業が多く、オーダーメイドの仕事に関わる機会もあります。


サッシ工 はアルミや樹脂製の窓やドアを建築現場で設置・調整する仕事です。スピーディーな作業が求められ、高所作業や屋外での仕事も多くなります。


どちらも建築に欠かせない仕事であり、自分の性格や働き方の好みによって向いている職業が変わります。じっくりとものづくりをしたいなら建具工、現場で体を動かしながら働きたいならサッシ工が向いているでしょう。