大工と建具屋の違いとは?仕事内容や役割を徹底比較

「大工」と「建具屋」はどちらも木を扱う仕事ですが、実際には役割や仕事内容に大きな違いがあります。大工は家全体の骨組みや内装を作るのに対し、建具屋は扉や障子、窓枠など、家の細かい部分を仕上げる仕事を担当します。


たとえば、大工は柱や梁を組み立て、家の基本構造を作るのが主な仕事です。一方、建具屋はドアや襖(ふすま)、障子などを製作・設置し、家の機能性を高める役割を持っています。


どちらも木の扱いに関する知識や技術が必要ですが、作るものや求められる精度が異なるため、必要なスキルも変わってきます。それぞれの仕事の詳細を知ることで、自分に合った職業を選ぶ参考になるでしょう。では、具体的な仕事内容を詳しく見ていきましょう。




大工の役割と建具屋の役割

大工と建具屋の大きな違いは、作るもののスケール感です。大工は家の骨組みや床、壁、屋根などを作るのに対し、建具屋は扉や窓、収納など、家の仕上げ部分を担当します。それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。



大工の役割

大工は家を建てる職人です。設計図をもとに柱や梁を組み、家の土台を作る仕事が中心になります。最近ではプレカット(機械で事前に木材を加工する方法)が増えていますが、それでも現場での調整や施工技術は欠かせません。新築住宅の建設だけでなく、リフォームや修繕工事を行うこともあります。



建具屋の役割

建具屋は、家の中で実際に使う部分を作ります。たとえば、木製のドア、襖、障子、引き戸、窓枠などの製作・取り付けが主な仕事です。建具は、家の見た目や使いやすさに大きく影響を与えるため、細かな寸法調整や丁寧な仕上げが求められます。


このように、大工は「家全体を作る仕事」、建具屋は「家の使い勝手やデザインを整える仕事」と考えると、その違いが分かりやすいでしょう。どちらも木を扱う職人ですが、求められるスキルや作業の精度が異なります。




求められる技術や使用する工具の違い

大工と建具屋は、同じ木を扱う職業ですが、使う道具や技術に違いがあります。それぞれの仕事に適した道具を使い分けることで、精度の高い作業ができるようになります。



大工の技術と道具

大工は、家の骨組みを作るための大きな木材を扱うことが多く、ノコギリやノミ、カンナといった基本的な手道具に加え、丸ノコやインパクトドライバーなどの電動工具をよく使用します。木材を現場で加工することが多いため、スピードと精度を両立する技術が必要です。



建具屋の技術と道具

建具屋は、細かい調整が求められる仕事が多いため、より繊細な作業を行う道具を使用します。たとえば、細かな削り加工に適した「際(きわ)カンナ」や、「シノ」と呼ばれる木を圧着するための工具などがあります。また、障子や襖などの伝統的な建具を作る場合は、繊細な手作業が求められるため、寸分の狂いも許されません。


このように、大工と建具屋では作業内容の違いに合わせて、使う道具や技術の方向性が異なります。大工は力強くスピーディーな作業、建具屋は繊細で精密な作業が求められるという点が、大きな違いと言えるでしょう。




家づくりのどの部分を担当するのか?

大工と建具屋は、どちらも家づくりに関わる職人ですが、担当する部分が異なります。家が完成するまでの流れを見ながら、それぞれの仕事がどの段階で必要になるのかを整理してみましょう。



大工が担当する部分

家づくりの最初の工程を担うのが大工です。基礎工事が終わった後、骨組みとなる柱や梁、床、壁、屋根などを組み立て、建物の形を作っていきます。家の「骨格」を作る仕事なので、全体の構造や強度を考えながら作業する必要があります。また、建物の内部では、階段や棚、床の仕上げなども大工の仕事に含まれることが多いです。



建具屋が担当する部分

建具屋の仕事は、家の骨組みが完成した後の仕上げ段階で必要になります。たとえば、室内の扉、障子、襖、クローゼットの扉、窓枠などを製作し、取り付けるのが建具屋の役割です。建具は、開閉のしやすさや見た目の美しさが求められるため、寸法の正確さや仕上げの精度が非常に重要になります。



それぞれの仕事の連携

大工が作った家の枠組みに対して、建具屋が細部を仕上げていくという流れで、家づくりは進んでいきます。大工と建具屋の仕事がうまくかみ合うことで、家としての完成度が高まり、住みやすい空間が生まれるのです。




大工と建具屋、それぞれの働き方の特徴

大工と建具屋では、働き方にも違いがあります。仕事の規模や求められるスキルが異なるため、それぞれに向いている働き方があります。



大工の働き方

大工は、工務店や建設会社に所属することが多く、新築住宅やリフォーム工事を手掛けます。工事の規模が大きいため、現場ごとに数週間から数カ月単位の仕事になることが一般的です。独立して一人親方として活動する人もいますが、建築現場での作業が多いため、大工仲間や職人同士の連携が欠かせません。



建具屋の働き方

建具屋は、工房での作業が中心となります。オーダーメイドの建具を作る場合は、図面をもとに木を加工し、塗装や調整を行った後に現場で取り付けます。また、既存の建具の修理やリメイクの仕事も多く、個人宅や店舗など幅広い場所での作業があります。建具職人は、腕が良ければ独立して工房を持ち、注文を受けて仕事をすることも可能です。



どちらの仕事も安定性がある

大工も建具屋も、家づくりに欠かせない職人です。そのため、技術をしっかり身につければ、安定した仕事につながります。特に、オーダーメイドや修理の仕事は需要があり、手に職をつけることで長く続けられる仕事です。




大工と建具屋、どちらを目指すべき?

大工と建具屋、それぞれの特徴を踏まえた上で、「どちらの仕事が自分に合っているのか」を考えることが大切です。


大工に向いている人

  • 大きな構造物を作ることに興味がある人
  • 体力があり、現場仕事が苦にならない人
  • 建物の全体像を考えながら作業できる人
  • 仲間と協力して仕事を進めるのが好きな人


大工の仕事は、家の基礎から屋根まで幅広く関わるため、現場での作業が多く、体力が必要になります。また、建築全体の流れを理解しながら仕事を進めるため、大きなスケールのものづくりが好きな人に向いています。



建具屋に向いている人

  • 細かい作業が得意で、手先が器用な人
  • 木材の質感やデザインにこだわりたい人
  • 寸法を正確に測り、ミリ単位の調整ができる人
  • コツコツと物を作るのが好きな人


建具屋の仕事は、木材を繊細に加工し、美しく仕上げることが求められます。そのため、細かい作業が好きな人や、じっくりとものづくりに取り組みたい人に向いています。


どちらの仕事も、それぞれの魅力があります。実際に現場を見学したり、職人の話を聞いたりしながら、自分に合った道を選ぶことが大切です。




まとめ

大工と建具屋はどちらも木を扱う仕事ですが、作るものや求められる技術が異なります。大工は家の骨組みや構造を作るのに対し、建具屋は扉や窓枠などの仕上げを担当します。


大工は体力が求められる現場仕事が多く、建物全体を考えながら作業を進めます。一方、建具屋は繊細な加工が必要で、細かい寸法調整や仕上げの技術が重要になります。どちらの仕事も手に職をつけることで、安定した職人生活を送ることができます。


自分に向いている仕事を選ぶには、実際の作業を見たり、職人の話を聞いたりすることが大切です。ものづくりが好きで、木を扱う仕事に興味があるなら、大工・建具屋のどちらの道も魅力的な選択肢となるでしょう。